
夫婦問題カウンセラーの三枝照子です。
6月18日に、(株)山野美容商事 代表取締役の山野光夫先生のご講演と同時開催させていただきました「人生の成功とはビジネス+家庭の成功」をテーマにお話したセミナーが好評をいただきまして、翌週6月25日にも15分拡大で、内容を少し変えてお話させていただきました。
私の公式Webサイトでもご紹介しているハーバード大学のロバート・ウォルディンガー博士は、75年に渡る「成人発達研究」の結果、「私たちを健康で幸福にするのは、富でも名声でもなく良い人間関係に尽きる」と結論づけています。そして、孤独であることが、人の健康寿命に大きく影響を及ぼすことも証明されているそうです。
今後の取り組みとして、人が豊かな人生を歩むためには、ビジネスの成功だけではなく、基盤となる「家庭」の成功を視野に入れた教育や仕組み、支援が必要なのではないでしょうか。
1. 日本人の幸福感が低い理由を内閣府データで整理
1.1 内閣府「国民生活に関する意識調査」の概要と重要ポイント
内閣府が毎年実施する「国民生活に関する意識調査」は、全国の16歳以上約1万5千人を対象に、〈生活満足度〉や〈幸福度〉を5段階評価で尋ねています。最新調査では平均スコアが3.1(5段階中)に留まり、前年より0.1ポイント低下しました。低下(!!)です!!微差は大差です。
主なポイントは以下の通りです。
- 若年層(16~29歳)の幸福度低下…安定した雇用や人間関係に不安を感じる人が増加。
- 働く世代(30~49歳)のワークライフバランス不満…長時間労働が続き、休暇の取得率が低いことが影響。
- 高齢層(65歳以上)の孤立傾向…地域活動への参加率低下と一人暮らし増加が確認。
これらの結果は、内閣府公式サイトで公開されています。
昭和、平成と、私たち日本人は、勤勉に働き目覚ましい経済発展を遂げてきた影で置き去りにされた「豊かな家庭生活」というものを、社会として考え直す時期に来ていると、私は感じています。
2. 日本人の幸福感が低い理由とライフスタイルと価値観の変化
2.1 結婚・子育てに対する意識の変容
近年、日本では若い世代を中心に結婚や出産を人生の必須条件と考えない人が増えています。キャリアや自分の時間を大切にしたいという思いから、良い悪いは別として、結婚時期が後ろ倒しになるケースが目立ちます。
また、子育てにかかる費用や保育環境への不安も、踏み切れない理由のひとつです。実際、総務省の調査では「経済的な理由で子どもを持つのをためらう」と答えた人が増加傾向にあります。
こうした変化は人口減少や地域コミュニティの希薄化にもつながり、家族や地域から受け取る安心感を減らしていることが、日本人の幸福感低下の一因と考えられます。
2.2 物質的豊かさより精神的満足度を重視する傾向
かつては「もっと良い暮らし」=「高い給与」が幸福感の指標でしたが、最近は体験や時間のゆとりを重視する人が増えています。旅行や趣味、自己投資にお金を使うことで、日々の満足度を高めようとする動きです。
ミニマリストや断捨離の流行もその表れで、物を減らすことで心のゆとりを得る人が多く見られます。「必要なものだけに囲まれた暮らし」が、ストレス軽減や幸福感向上につながると注目されています。
こうした価値観のシフトは、自分らしい生き方を模索する前向きな動きである一方、「人と比べない幸せ」を見つけにくい社会的背景も映しています。
そのような社会的な変化に伴って、「個」を優先する生き方は大切ではありますが、離婚が増えている事実をどう捉えたら良いのでしょうか。

3. 幸福感向上に向けた取り組み
3.1 女性のキャリアを支える社会のしくみが必要
内閣府ではワークライフバランスの改善や地域活性化を柱とした施策を展開しています。例えば、テレワーク促進や残業削減を図る「働き方改革推進プラン」により、働く時間と生活時間の質を同時に高める取り組みが進められています。
私自身は、母親が仕事をしている家庭で育ちました。母は家で仕事をしていましたので、学校から帰れば、いつでも母は家にいました。私も、子育ての時期には、家でできる仕事を選び、子どもの成長を見守ると同時に、学校行事や地域活動に参加できる時間を取れるようにしていました。
ですが、日本の場合、子育て中心の時期にキャリアを積むことができないとマミートラックに陥る、という現状があり、子育てとキャリア形成の間で悩む女性も少なくありません。その点、アメリカでは、女性が子育ての時期に仕事を離れても、子どもが手を離れた頃から大学院などでキャリアアップをして再就職できる門戸が開かれています。
一方で、2023年に改定された「まち・ひと・しごと創生基本方針」では、地方創生と結びつけた幸福度向上策が盛り込まれ、地域への誇りや帰属意識を高める効果を期待したいと思いますし、企業としてそうしたことを織り込んだ経営をしていただける社会に希望を感じます。
3.2 企業や自治体の先進事例から学ぶアプローチ
企業では、フレックスタイム制の拡大や在宅勤務手当の導入など、柔軟な労働環境を提供する事例が増えています。実例として、私のところにいらっしゃる相談者さんから聞くところによると、男性社員でも育児休暇を1年取れる、女性は3年の育児休暇、あるIT企業では年間休日を20日増やし、社員のメンタルヘルス休暇制度を設ける会社もあるそうです。
自治体では、地域住民の交流を促すコミュニティカフェや、シニア向けの趣味活動支援プロジェクトなど、世代間交流を促進する仕組みが注目されています。先日は、茨城県境町が、市が行うふるさと納税と企業が行う子育て支援を結びつける仕組みをつくり、若い世代の移住が増えていることがNHKで報道されていました。
これらの先進事例は、企業と自治体が連携することでさらなる相乗効果を生み出し、全世代の幸福感アップにつながる可能性を期待したいですすね。
そして、こうしたことの基盤となるのが「良い夫婦関係」です。
4. まとめ
「家庭のことを、仕事に持ち込まない」「仕事第一」が作ってきた社会は、果たして成功だったのでしょうか?
夫婦がつくる暖かい家庭があって、人の心が育まれ安定する。人があって会社が成り立つ。この事実に向き合って、社会として「夫婦」を支援する仕組みが必要だと思います。社会として考えていただける機会になりましたら幸いです。
ずっとハッピーが続くマリッジライフ応援!
三枝照子(ティダテラス)
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